おいしい食材は
うつくしい食へ、風土へ。
農業とは、たとえ同じ品種を手がけても、作り手のデザイン次第で成果に違いが生じるもの。匠の会の名のもとに活動を行う私たちは、植物の持つポテンシャルを最大限に引き出すことに注力し、自らが意図する理想の高みを目指す者たちの集まりです。試行錯誤の中から編み出したこだわりの栽培法や、匠ならではの個性を発揮する生産物は、全国的にも高い評価をいただいています。
鉾田市は農作物の栽培に適した気候風土に恵まれ、全国でも指折りの一大産地。良質な野菜や果物を安定供給してきた長年の実績が広く信頼を得ることとなり、首都圏のみならず全国各所から引き合いをいただいています。私たちの作る農作物が食材となり、人々の健康や日本の食文化を支える一端を担っていることに、大きな喜びを感じています。しかし同時にさまざまな課題を抱えていることも事実です。後継者がいない田畑には雑草が生い茂り、管理が行き届かず荒れてしまった山林も散見されます。これらは景観を損なうだけでなく、先人から伝わる知恵の蓄積、土地の記憶、農林漁業の枠を超えて循環してきた、自然の営みからの恩恵をも消滅させるものです。その営みの中で生かされている私たちは、この状況が加速していくことに危機感を覚えずにはいられません。社会情勢にも先行きの不安を覚えることの多い昨今、いかにして自分たちの本分を全うしながら、子どもたちやさらにその先の未来に誇れる郷土を引き継いでいけるのだろうか。
先に述べた通り、たとえ同じ品目を手がけていても、効率重視で収量を目標に掲げる生産者もいれば、手間を惜しまずハイエンドに仕上げる生産者もいます。どちらが良いということではなく、意図する結果によって栽培法や営業計画が変わるのは当然で、生産者の数だけ営農スタイルがあるのです。逆説的に言えば、作物にはそれをデザインした生産者自身の個性が反映されているとも言えるでしょう。
匠の会メンバーの共通項は、各々が描く高い理想に向かって真摯に農業に取り組んでおり、その姿勢や成果物に対して、消費者の皆さまや同業の方々からも支持されている立場にあるということです。こうした生産者が品目の垣根を超え、同じビジョンを持って地域の農業を考えていくことで、新たな価値を持つ共同体制が作れるのではないか。その価値の強みをもって、100年先を見すえて何かできることがあるのではないだろうか。そう真剣に考えた中で導きだしたのがBE FOOD.の活動です。
GASTRONOMY, LANDSCAPE, LIBERAL ARTS
今日も鉾田の空は広く、朝に夕にドラマチックに展開しています。農業を生業とする私たちはこの空をあおぎ見るたび、自然の営みの一部として生かされていることに感謝し、昨日より今日、今日より明日の思いで、良い作物をつくることに取り組んでいます。
私たちが定義する良い作物とは、「自然の摂理が循環するうつくしい環境」で、「誠実な心根と高度な栽培技術を併せ持つ生産者」が作る、「格別な個性と確かな品質」をもちあわせた作物です。そこに価値を感じてくださる方の元へ、背景ごとうつくしい「美食材」をお届けします。日頃からこだわりの野菜や果物を選んで求めている皆さまに向けて、多品目をワンストップでお届けできる、新しいサプライチェーンを構築していきます。
100年先を意識しながら、食と自然環境について楽しく考える場をもつこと。これもBE FOOD.の活動のひとつです。農家は口下手だからということを理由に、これまで伝える努力を怠ってきましたが、大地の恵みや尊さを日々実感している私たちだからこそ、伝えることに意味があると気づきました。これからは生産者自身の言葉で作物の生理や環境のことを広く伝えていこうと思います。そのために多くの方々に参加していただきながら、さまざまな食にまつわる体験の機会を創出していきます。自然や農業に興味のある方、マーケットに関わるすべての皆さま、料理人、学生など、年齢や職業は関係ありません。食べることが大好きという皆さまもどうぞご参加ください。ぜひごいっしょに、畑まわりで楽しいことをしていきましょう。
美食材の街 匠の会 概要
Tel.0291-37-0478
- 地域に誇りを持ち、地域特性を生かした美食材の生産
- 素材を活かした地域の魅力発信
- 消費拡大や生産物の価値向上に向けた取り組み
- 若者が将来に希望を持てる、持続可能な地域づくりに関する取り組み
- その他、会の目的達成に必要な取り組み